土井さんのニューヨーク時代の写真の中で数も多く、目立つのが親友ジェフリー・ホールダーの写真である。その中でも躍動感あふれるのが、ホールダーのハーレムにあった稽古場の写真。ブロードウェイを目指すダンサーたちの息づかいが伝わってくる。(MJ)
ジェフリー・ホールダーはカリブ島のトリニダードで生まれ、英仏で教育を受けた人でした。
(つき合いはじめて)まず最初に連れて行かれたのが、ハーレムのど真ん中にある「ダンス・シアター・オブ・ハーレム」というバレエスクールでした。黒人初のクラシックバレエダンサー、アーサー・ミッチェルが創設者です。
そこでは二十人ほどのトップダンサーたちが素晴らしいプロポーションと鍛え抜かれた肉体から汗を流していました。
ジェフリーのかけ声で稽古がスタート。ブロードウェイの舞台で上演予定の創作舞踏の練習でした。厳しい中にもユーモアを交え、自身も踊りを見せながら充実の三時間ほどのリハーサルは、ほぼ最終段階でした。
バレエやダンスなどおよそ縁のなかった世界でしたので、目を見開き口をあんぐりさせながら見ていました。
『i click! Manhattan』(土井弘介 著/2016年刊)より