土井弘介さんの14年間(1972年〜1986年)にわたるニューヨーク時代の写真をまとめた写真集(フォトエッセイ)が『i click! Manhattan』(2016年刊)である。“click”とは「シャッターボタンを素早く押すこと」を意味する。(パソコンが普及して以来、日本でもマウス操作によく使われる言葉になった)
この写真集では、ニューヨークで出会ったセレブや有名人たちの写真がそのエピソードを添えて掲載されている。土井さんをセレブの世界に引き入れた親友ジェフリー・ホールダー(トニー賞受賞の演出家、ダンサー、俳優)とのエピソード、ホールダーの関係から生まれたジョアン・ジルベルトとの出会い、リムジン運転手のバイトをしている時に知り合った斎藤茂太、パーティーで一緒になったブレイクする前のマドンナ、出会うといつもポーズを取ってくれた顔見知りだったダリやウォーホル、写真界のレジェンド リリアン・バスマン(土井さんは長年助手を務めていた)などなど、セレブ38名が写真とエピソードで綴られている。
土井さんと出会った当時、これらの写真は手作りの冊子になっていて、初めてカフェDECOを訪れたときにも見せてもらった。その時はジョアン・ジルベルトの写真だけが目的で土井さんのギャラリーへ行ったのだけれど、その冊子をみて、どうしたらこれだけの有名人を撮れるのだろうか、知り合いになれるのだろうかと思った(土井さんはパパラッチ的な撮影は決してしない)。なんだかすごい人と知り合っちゃたなぁという感動とともに、土井さんの元を去ったのだった。
このブログは、写真家 土井弘介のニューヨーク時代の逸話をつづったものです。詳しくは、「ブログについて」をご参照のこと。(MJ)