土井さんがニューヨークで多くのセレブたちと知り合いになり、人によってはプライベートな関係にまで発展できたのは、ヘルムート・ニュートンの撮影で知り合いになったジェフリー・ホールダー(1930年~2014年)と親友になったからだった。
ジェフリー・ホールダーといわれても、日本ではピントこない人は多いと思うが、映画好きの人なら、『007死ぬのは奴らだ』(1973年)でジェームズ・ボンドの不気味な適役を演じた黒人の大男といえばわかるだろうか。
私的には、1978年にシドニー・ルメット監督、ダイアナ・ロス、マイケル・ジャクソン主演で映画化された『ザ・ウィズ』のベースを作ったのがホールダーということで、彼の芸能界での立ち位置がわかった(たいへんな著名人である)。『 ザ・ウィズ 』は『オズの魔法使い』の黒人版で、ホールダーは演出家・衣装デザイナーとして、1975年 『 ザ・ウィズ 』を ブロードウェイ・ミュージカルとして仕上げ、成功させた。この作品で演劇界のアカデミー賞であるトニー賞を演出と衣装デザインの2部門で受賞している 。これは黒人としては始めての快挙であった。 なお、『 ザ・ウィズ 』はトニー賞を7部門で受賞している。
土井さんは、(ホールダーと知り合ったヘルムート・ニュートンによる)ハイチの撮影が終わったあと、ホールダーから「暇なら出ておいで」といわれたことで、彼と付き合うようになったが、「まるで彼の腰巾着のようだった」と当時のことを回想している。そして、あちこち連れて行かれるうちに、ホールダーが何者かがわかってきたという。
いずれにしても、ジェフリー・ホールダーと土井さんは生涯の友となったのである。(MJ)
ジェフリー・ホールダーは1982年版『アニー』に出演している。